ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。
テンポ良く進むバランスの良い物語が楽しい!

この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま

 

ゲームを愛する引き籠もり少年・佐藤和真の人生は、あっけなく幕を閉じた…はずだったが、目を覚ますと目の前に女神と名乗る美少女が。「異世界に行かない?一つだけ好きな物を持っていっていいわよ」「じゃあ、あんたで」ここから異世界に転生したカズマの大冒険が始まる…と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる!平穏に暮らしたいカズマだが、女神が次々に問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!? (「BOOK」データベースより)

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若くして命を落とした引きこもりの少年・佐藤和真。死後の世界で女神アクアから特典つきで異世界転生させてもらえると言われたが、その女神があまりに煽ってくるのでキレてしまい、彼女自身を特典として異世界転生することにしてしまう。ところがこの女神、スキルは強いのになかなかのポンコツ。PTメンバーを募集してみても、やってくるのは1日1回しか撃てない大魔法しか使えない魔法使いやら攻撃の出来ないタンク職やら、変な奴ばかりで…!?

スキルは高いのにどこかポンコツなPTメンバー達と人並み以下のスキルでどったんばったんしながら冒険を繰り広げていく異世界冒険譚。使い所が難しすぎる仲間達のチート能力と微妙な運とちょっとした機転で切り抜けていく展開が軽快で楽しかった!俺TUEEするには微妙すぎて、頭脳バトルをするには浅はかで、運ゲーというほど運に頼れなくて…どの要素にも偏りすぎず、それでいてどの要素の美味しいところも総取りしていく展開に、ものすごいバランスの良さを感じる。

個人的にめっちゃ好きなのは最下級職である「冒険者」にしかなれなかったカズマがどんな職のスキルも極められないけれど取れることを利用して様々なスキルを習得し、それを小器用に使っていく所。転生特典を(アクアを引きずり込んだせいで)受けられていない彼が創意工夫でステータス上でのハンデを乗り越えていくのにすごくワクワクした。一応転職も可能とのことだけど、転職しないでこのまま微妙な器用貧乏キャラでいてほしいなこれ。

ギャグと言うほど軽くはないんだけどクスっと笑えて、キメるところではしっかり熱く締めてくれる物語に、テンポよくサクサク読める文章がバッチリ合っていて、とにかく読んでて気持ちよく読めるお話でした。楽しかった!これは人気出るのもわかるわ……。


どこか停滞した日常からの終盤の畳み掛けが胸に痛い。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12

 

バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意と共に出した答えとは…。―たとえ、その選択を悔いるとしても―。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて―。それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。 (「BOOK」データベースより)

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バレンタインの水族館でのやりとりをきっかけに、雪乃は母と向き合うことを決めた。妹・小町の受験も一段落したころ、一色いろはから奉仕部にとある依頼が持ち込まれて──終わりの始まりの巻。今月いよいよ完結巻が出るとのことで慌てて読みました。

割といろいろな意味で10巻までが激動の連続で、11巻もラストが爆弾で、そこから始まった12巻は小町の受験やらいろはの持ち込んだ卒業パーティ(プロム)の依頼やらと、どこかこれまでと違った空気を感じさせながらも思ったよりも穏やかな日々が続いていて。水族館のあの日に彼らは戻れないところまで進んでしまったはずなのに、少しなかだるみ感すら感じて。でも、最後の最後で奉仕部の関係に致命傷を与えかねない最大級の爆弾が落ちてきたなと言う感じでした。穏やかで停滞したところから急転直下で転がり落ちていく展開が凄まじい。

最後まで読んでから改めて思い起こせば、小町の受験をめぐる比企谷兄妹のやりとりが濃厚に描かれたのも、葉山やいろはとのとの何気ないやりとりも、最後の陽乃さんの一言のためのお膳立てでしかなかったのだろうと。そしてその言葉は比企谷八幡にとっては一番忌憚していた関係のはずで。年度代わりを前に否応なく変わりゆく人間関係の中で、三人それぞれの葛藤が胸に痛かった。どうなるんだこれ。

陽乃さんの言葉はラストのアレもそうなんですけど個人的には酒に関するやりとりが最高にキたといいますか、そうわかる陽乃さんも八幡もそっちのタイプだよな〜〜ガハマさんとか普通にめちゃくちゃ泣き上戸になりそうだけどあなたたちそっちのタイプだよな〜〜〜…………とてもつらい。

「けど、たぶん君もそうだよ。……予言してあげる。君は酔えない」


スレイヤーズ17 遥かなる帰路

 

「―え。」ひょんな出来事から一転、気がつくと見知らぬ町にいたリナとガウリイ。あたりを見渡せば、見たことがない文字、使ったこともない通貨、あきらかに自分たちとは違う文化様式―。動揺しつつも、経験と推理から導き出した結論は、「…ここ、魔族の結界の『外』の世界よ…」衝撃の事実!?だがしかし、立ち止まっていても意味は無し!ふたりは故郷に帰る道を探しはじめる。その先には、新たな出会いとやっぱりやっかいな脅威が待ち受けているわけで―リナとガウリイの、新たな、長い冒険の旅が始まる! (「BOOK」データベースより)

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故郷ゼフィーリアへの帰還を目前にして、ひょんなことから魔族に遭遇して、どこか知らない街に飛ばされてしまったリナとガウリイ。周囲の人に話を聞いてもすれ違うばかりで、しかも教えられた街や国の名前も知らないものばかり。どうやら、魔族の結界の『外』の世界に飛ばされてしまったらしくて…!?

『外』の世界はリナ達がこれまで暮らしていた世界とは何もかもが違っていて、ほぼ『異世界』といって良い状態。細かい作法や生活様式も違っていて勝手の違いに戸惑うし、何より魔法が浸透していなくて、ちょっとした呪文を使えば悪目立ちしてしまう。世界の違いに興味が湧く反面、そんな中で回り回ってお尋ね者になってしまって……正体の解らない謎の刺客にも追われることに……良くも悪くも常に自信満々でマイペースだったリナの見せる少しだけ弱気な姿が印象的でした。思った以上に、彼女の中で『故郷』の存在は大きかったのだなと。

本編完結後の人気キャラ総出のオールスター劇場版のようだった16巻に対して、今巻は舞台を『外』の世界に移しての新展開。去年出た16巻の時も思ったけど、本編完結からあんなに時間が空いているし結構これまでとは毛色の変わったストーリーが展開されているんだけど、読んだら「これでこそスレイヤーズ」と思わせてしまう安定感のある展開が読んでて心地良かったです。色んな意味で新展開の幕開けの巻であり、後先考えずに全部ネタをぶっ放した感のある前巻と比べるとどうしてもパワー不足を感じてしまうお話でもあったんだけど、その分今後の展開が楽しみになる一冊でもありました。

というか、読んだのがだいぶ前なのでうろ覚えなんですけど、いつかのあとがきに『フィブリゾ達が完全消滅した時点で結界が消えてて神の力を借りる魔法も使えるようになってるけどみんなが気づいてないだけ』みたいな裏設定ありましたよね…?今回それとなく魔族ではなく《神》の力を借りる魔法回りの話も出てきたし、それをそのまま『中』の世界に持ち込めたりもするのかな。スレイヤーズの魔法うんちくめちゃくちゃ好きなので楽しみすぎる。魔法バトル的にも、リナも以前と比べたら本調子ではないわけで、そのへんを新しい魔法体系で埋めていくような展開を期待しちゃう。


1年生編完結編&2年生編助走巻。過去最高に挿絵がズルい。

ようこそ実力至上主義の教室へ11.5

 

学校側の介入というアクシデントがあったものの、1学年の最終試験を退学者なしで乗り越えたCクラス。最後の行事、卒業式を迎える。兄との最後の接触に踏ん切りのつかない堀北にアドバイスを与えつつ、綾小路は月城理事長代行対策に動き出す。システムにはシステムで対抗、坂柳理事長に連絡を取り、1年Aクラス担任の真嶋、茶柱と秘密裏に接触、交渉を試みる。一方で綾小路の偽の姿について疑念を持つクラスメイトも現れていた。好奇心と願望の下、1年Cクラス松下千秋が綾小路の追跡を始める。そして1年という月日は生徒同士の関係を大きく進展させるには十分な期間で――。新たな学園黙示録、1年生編完結!

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卒業式から春休みの間を描く、1年生編完結編。もともとこのシリーズの小数点巻は「短編」であっても「番外編」ではないんだよなという印象があったんですけど今回は堀北兄vs南雲の対決の行方とかホワイトルームの秘密とか、今後の展開(2年生編)への補足説明も踏まえたまぎれもない濃厚な「本編の続き」でした。いやまあ小数点がついてるだけで確かにあらすじにも番外編とか短編なんて1ミリも書いてないんだけどさぁ!!

綾小路の周囲に居る人々の変化や成長が印象的でした。もともと人間関係の動きが顕著なシリーズではあるんだけど、1年の節目を迎えてまた一つ大きな変化があったり、想いを新たにしたり。最初の頃はお互いいけ好かない相手でしかなかった誰かと普通に会話していたり、仲良くしていた相手と少し疎遠になったり…その変化に改めて感慨深くなる。1年前と同じグループのままで居られないところ、なんというかリアルですよね。

特に今回中心になるのはやはり掘北兄妹の関係の変化なんだけど、堀北兄が妹に対して抱き続けてきた本当の想いと、その兄が願ったとおりに兄の呪縛から解放され「自分」のための戦いに身を投じようとする堀北の新たな姿が頼もしい。割と1年生終盤ではやや迷走してる感があった堀北だけど、綾小路の予想を超える大きな成長を果たした彼女が今後の2年生編でどんな役割を果たすのか、楽しみで仕方がない。

そしてもうひとりやはり印象的だったのは復活を感じさせる龍園の存在なんですけど、いやなんていうか腐った意味ではなくて綾小路は龍園のこと好きすぎじゃないですかね??退学に追い込まれることだけを唯一忌憚して動いているはずの綾小路に真意かどうかはわからないとはいえ「お前になら退学にされてもいい」っていわせるのって相当好感度高くないですか?だって綾小路にとってはそれって実質「お前になら殺されてもいい」ってことと同義では??現状一番好感度高いまであるのでは??あと綾小路以外の唯一の男の挿絵が連れションってどういうことなの??(最高)

龍園だけでなく普通に喋れるようになった石崎、同じ本好きとして同好の友となったひより、腐れ縁感が強くなってきた伊吹とDクラス(旧Cクラス)の面々とは本当に良きライバルといった関係性になってきてるんですよねえ。今後はBクラスではなくて彼らとの共闘とかもありうるのかも。

周囲の人々が、変わらない存在のように思っていた堀北学すらもこの1年で大きな成長を見せる中、綾小路だけが変わらないように見えて。彼自身も自問自答してますが、綾小路自身の精神的な「成長」は今後のひとつの課題になっていくのかなあと。ただ、自分自身の心の成長を疑ったりすること自体や、龍園や堀北への態度の変化なんかはその「兆し」なのではないかと思うのですが。思えば、やたらと途中退学を匂わせてきたり、急に軽井沢との関係性を進めようとしてきたりと行動にどこか今までと違った焦りを感じるようにも見える(ただ、それすらもフェイクかもしれないといえなくもないのが怖いところ…)

綾小路の内心での思いを知ってか知らずか(いやこれ絶対わざとなんだけどさ!)で挿入されるラストの挿絵があまりにも強烈で人の心がない。口角上がるどころか下がってるんだけど!!??軽井沢さんは本当に幸せになってほしい……綾小路は卒業式までに笑えるようになるといいな(この能面のままで卒業するところは卒業するところで見たいんだが)

いろいろな意味で、今後の展開に期待せざるを得ない1年生の最終エピソードでした。というか2年生編も割と早めに開始されそうな感じ!?いろいろな意味で楽しみです。

ところで全員に掘り下げがあったわけではないとはいえ、綾小路と堀北の会話上でしか登場しなかった櫛田さんはマジでどうなってしまうんだ。途中脱落すらありそうで怖いんですが。あと平田まさかのソッチなの!?綾小路に全然真意が伝わってないのに直感でとめきかせてるあたり、この話で一番ラブコメしてた気がする(混乱)


新展開の4巻。人造人間の王子(少女)の、「生命」としての成長と葛藤がアツい。

錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣

 

濃密な死の香りに包まれる王の子を寒椿が生かす。煮え滾る鮮血の海から抜け出した子供・シシを救ったのは―、疾風無頼の兄上―赤星ビスコだった。九州が誇る巨大監獄『六道囚獄』。そこには花を操る人造人間・紅菱の一族が収監されていた。人間に逆らえない宿命を背負い、監獄の中で虐げられる紅菱たち。しかし彼らを捕らえているのもまた、桜を操る紅菱で―。キノコの生命力を奪い咲き誇る花々。進化のキノコ『ナナイロ』の胞子により生じた未知なる花力が日本を動かす!

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各地で消えたキノコ守りの消息を追い、九州が誇る大監獄『六道囚獄』を訪れたビスコとミロとパゥー。そこで待っていたのはビスコを「兄」と慕う少女・シシとキノコを喰らい、キノコ守りの意思をも喰らわんとする監獄の主・サタハバキだった。それぞれに罪を問われて収監されてしまった彼らの運命は……。

ビスコの「キノコ」という本領が発揮出来ない場所を舞台に繰り広げられるそれぞれの戦いが楽しい。表立って動けなくて水面下で動くのを余儀なくされる姿は普段の彼らを知っていると大変にもだもだするんだけど、いろいろな意味で脱獄までは「頭脳派」ミロの独壇場。そんな抑圧された展開だからこそ、彼らが本来の力を取り戻して全力で戦うクライマックスが最高に爽快なのですが。あと、出番こそちょっとしかないけどパゥーさんが相変わらずイケメン。旦那であるビスコに対する若干のヤンデレ感というか余裕のなさは、なんというかミロの姉だな……という気持ちになりますが……。

そんなビスコ達の脱獄劇の裏で繰り広げられる人造人間「紅菱」の王子・シシの葛藤と成長が熱かった。人造人間から自己の意志を得たばかりの彼(彼女)がひとりの生命体として、そしてやがて「王」になる者としてどういう人生を歩んでいくべきなのか。悩み、葛藤し、そして立ちふさがるなにかを乗り越えようと足掻く姿が印象的でした。

兄と慕うビスコ、最初はどこかギスギスしていたところから少しずつ信を置いていくミロとの関係も大変良いのですが例によってパゥー以外の女がビスコに近づくと面白くないミロさんがシシに対して余裕なくてニヤニヤする。そして「ビスコにふさわしくない」といわれてブチきれるミロさん最高!!!

ビスコ達と別れ、憧れであり肉親であり乗り越えるべき存在でもあった父王ホウセンと違う「王」の道を歩み始めたシシがどこへ向かうのか。新たな物語の始まりを感じさせるエピローグが衝撃的で、続巻への期待が止まらない。

というか次回予告の圧が高すぎるんですよなんなんですか北海道の中には赤ちゃんがいますって!!


庶民派成分大増量の番外編が楽しかった!

はたらく魔王さまのメシ!

 
029

今回は、魔王と勇者と二人を取り巻く者達の「メシ」に注目するグルメ編!未知の食材「コメ」を食べるのに四苦八苦する芦屋。ポテトをきっかけにパソコンを手に入れたことを思い出す漆原。愛するうどんを食べることを全力で拒否する鈴乃。忘れていた趣味を思い出し散財してしまう魔王。突然同居することになった「娘」の食欲不振に「母」として悩む恵美。エンテ・イスラからの来訪者達がそれぞれに日本の「メシ」に向き合う中で、千穂はエンテ・イスラの豪華な料理に舌鼓を打っていた!「電撃文庫MAGAZINE」に掲載された六話に書き下ろし短編を加えた特別編が登場!『メシ』がテーマの庶民派ファンタジー・グルメ編! (「BOOK」データベースより)

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“食事”をテーマにした「はたらく魔王さま!」の番外編短編集。庶民派成分増量でとても楽しかったー!天界の話が出てきたあたり(12巻)から読めてなくて、人物関係の変化に驚いたところも多かったんですが、基本的に本編の話とはつながっていないので気にせず楽しく読めました。それにしても今、本編は一体どういうことになって…!?

あとがきでも触れられていたけど初っ端の「悪魔大元帥、米を炊く」の圧が強い。文字とおり日本に来たばかりの真奥と芦屋が米を炊く話なんですけど白米を炊飯するだけで1話できちゃうの、なんというか本当にこのシリーズの強みですよね。大家から支給された米と炊飯器(解説なし)を手に、僅かな手がかりから炊飯を行おうとする二人の姿が最高に面白いんですけどこの内容で「グルメ編」っていうの詐欺では!?(本書あらすじの話)

その他、真奥が大量に持ち帰ってくるフライドポテトに閉口した漆原がネットでアレンジレシピをググったり、鈴乃vsカレーうどんだったり、恵美がアラス・ラムスの食生活で悩んだり、真奥がアシエスと休日を堪能したり……と、どこにでもあるような地についた日常のエピソードが最高に楽しい。「魔王さま」に求めていた要素はこれなんだよ!!みたいなのを思う存分に投げつけられた気持ち。唯一“異世界グルメ”っぽいことをしているのがちーちゃんがエンテ・イスラ料理のフルコースをいただく「女子高生、異世界料理を堪能する」ですけどこれもちーちゃんが舌鼓を打っているのが、あの…!!って考えるだけで笑いが止まらなくなってしまうのでずるかった。

そして日本に来たばかりで不安定な日雇い労働者をしていた真奥がマグロナルド幡ヶ谷店のアルバイトになるまでを描く書き下ろし「魔王、飯のタネを得る」が良かった。原作1巻では既に日本社会に溶け込んだ後の彼らだったのでなんとなく序盤にこそ苦労はあったけど、その後はスムーズに適応できたんだと思いこんでいたけど、よく考えたらそんなに簡単にいくわけないよなあ。文化も常識も日本語の機微も解らない、お金も人脈もなくて自力で適応するしかない異世界人の彼らがあの手この手で日本の常識を学び、適応していこうとする真摯な姿が印象的でした。

いや本当に楽しかった……本編の展開落ち着いてからでもいいのでまた続きを書いてほしい。本編も読みたい……。


幽閉された聖女は塔の上でネト充する

作者: ツルギ

聖女は魔族に幽閉されていた。
逃げる手段もない塔の上で、魔法ネットワークの世界に助けを求める。
「私は聖女です。幼い頃からずっと魔族の塔の中に閉じ込められています。助けてください」
しかしネットの海は、彼女の声をかき消すほどに広大だった。

――そして数年後。
勇者「それで、場所はどこなんだ?」
聖女「その話はクエストをクリアしてからだ」

その能力を畏れた魔王によって幽閉されている聖女に転生した主人公が、正体を信じてもらえない無力感を感じながらネトゲ世界で「聖女」を名乗り、「勇者」「王子」「姫」を名乗る人物とパーティを組んで廃プレイをするお話。

3話完結(一応番外編の予定あり)でさっくり読めて、短く綺麗にまとまってるので気軽に読めた。パーティーメンバーの正体は言わずもがな…という感じなんだけど、なまじ転生していて人間社会を知っている彼女が感じる自分以外の人間と触れ合えない孤独・信じてもらえない絶望感と、その孤独を癒やしてくれる「勇者」達との触れ合いが暖かく、楽しかった。ネットの反応がおもくそリアルで人の心がないし、自分も同じ書き込みを見たら同じ反応するだろうと思うので震える。

メインの話は綺麗にまとまってるから必要ないといえば必要ないんだけど、転生者周りの設定は面白そうな割にラストでざっくり設定解説されるだけなのが少し残念。番外編の予定があるみたいなので期待したい。


最初から最後まで可愛いお話だったけどこの女神の土下座インパクトが凄い。

ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2]

 

現実世界のゲーム実況が神々の声として聞こえるようになったジーク。神託を通じ婚約者リーゼロッテが“ツンデレ”だと知った彼は、その可愛さに悶え、誓った。―彼女の命を奪う元凶“古の魔女”を許さない。しかしその討伐のため、神託に従い国の最高戦力を集めたはいいが、婚約者本人まで戦う気満々なのはなぜなんだ…?遂にバッドエンドの黒幕と直接対決!ゲーム実況が導く先に不遇な悪役令嬢のハッピーエンドは訪れるのか…!? (「BOOK」データベースより)

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ゲームを通して乙女ゲームの世界に「声」を届けられるようになった高校生の男女が「実況」と「解説」を駆使して誰も見たことがない完全ハッピーエンドを目指す物語、完結編。いよいよジークとリーゼロッテが両想いになり、破滅フラグも回避──と思ったのもつかの間、ゲームの展開通りに“古の魔女”がリーゼロッテの意識を蝕みはじめ……というお話。

魔女との最終決戦に対抗するため、未登場の「攻略キャラ」達に助力を求める展開〜まではいいんだけど、もともとフィーネが何故かムキムキ状態でそれに引きずられて周囲の面々のレベルも上がっており、更に遠藤のアドバイスによってゲームにはない戦力も加わってきてオーバーキル感が半端ない。ゲームでのフラグを立てていないので助力を求めるのが難しいかと思われていたキャラが思いもよらぬ人物によって懐柔されたり……と、ゲームでは見えなかった人物関係が見えてくるのも楽しい。

本来のゲーム展開では孤立してしまっていたリーゼロッテを救うため、これだけの人たちが力を尽くしてくれることが感慨深かった。遠藤・小林の言葉がすれ違ってしまっていた二人の関係を解きほぐしたからこそ迎えることが出来た結末。ただ萌え語りをしているようで、それがきっかけでイチャイチャしているだけのようで、その「実況」と「解説」こそがリーゼロッテの破滅する運命を打開する鍵としてしっかり働いているのが上手いなあと。それにしてもこんなに戦力がオーバーキルキルで最終決戦の見せ場は大丈夫!?と思っていたら、まさかの土下座系女神登場で腹抱えて笑ってしまった。いやでも、ゲーム世界の本来の流れとか踏まえて、色々とこれまでのことぜんぶが神代から続く壮大な痴話喧嘩だったんだと思うとワロエナイな……。

そして思わぬ展開から最終決戦は現実世界で行われることに。最後の最後ですれ違ってしまい窮地に陥る遠藤・小林の両名を救ったのが「向こうの世界」からの「実況」と「解説」だったもんだからもう…!!恋愛に疎い両名の、指摘されてみれば笑っちゃうようなすれ違いっぷりにニヤニヤし、こちらが恥ずかしくなるくらいの真っ直ぐな告白に胸を熱くしてしまう。ジークとリゼたんのようなイチャイチャとはまたちがった、少しずつ距離を縮めていく遠藤と小林の関係が大変に甘酸っぱかったです。

最後までゲームの画面を隔てたままの語らいが最高に楽しく、そしてだからこそ避けることができない「ゲームクリア」と言う名の別離に涙してしまった。そして、そこからのエピローグが楽しくて……!!2巻で綺麗にまとまってるのも大変にポイント高かったです。楽しかった……。


ルミアの成長と反撃(色々な意味で)がアツかった…!

ロクでなし魔術講師と禁忌教典15

 

「なんで!俺が!こいつらの総監督を務めにゃならんのよ!?」帝国代表選抜会を終え、いよいよ迫る魔術祭典。何の因果か、総監督を務めることになったグレン。メイン・ウィザードを勝ち取ったシスティーナと訪れたのは自由都市ミラーノ!平和の祭典に相応しい地に足を踏み入れた帝国代表は、かつてない大舞台で各国代表と激突する!一方、この祭典を台無しにし、戦争をもたらそうとする刺客に気付いたグレンは、教え子たちの思いを守るため、自身も戦いに乗り出して…「へっ!裏魔術祭典・大開催!ってわけだな」天使と吸血鬼。芸術の都に高らかに悲劇の歌声は響く―。(「BOOK」データベースより)

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無事に魔術祭典のメインウィザードに選ばれたシスティーナと、アルザーノ代表の総監督に抜擢されたグレン。学生たちが華やかな闘いを繰り広げる平和の祭典の裏では、戦争を起こそうとする派閥の陰謀が渦巻いていて…。システィーナ達の成長を感じさせる魔術祭典本戦の様子と、水面下で蠢く陰謀をグレン達が阻止する裏の戦い、両面から描かれるそれぞれの駆け引きが楽しかった!

学友達と比べると突出してるけどグレン達の戦いに入れてしまうと(ぶっちぎりの速度で成長を続けているとはいえ)背伸び感が否めなかった、これまで色んな意味で相手に恵まれなかったシスティーナが自分と同格かそれ以上の他国の少年少女達と全力で凌ぎを削り合う様子にワクワクが止まらない。窮地に陥っても冷静な判断をして、自分で抱え込むだけではなく仲間を、そして外で奔走するグレンを信頼して戦う彼女の様子が頼もしすぎたし、実力はあるけど度胸は年相応の少女かそれ以下だった頃の彼女を知っていると感慨深くなってしまった。また、システィーナの裏に隠れて目立たないけどしっかり帝国代表に食い込んできたギィブルの成長ぶりに個人的には大興奮でした。最後まで素直になれなかった彼こそが一番グレンの戦闘スタイルを忠実に受け継いでいるという展開、胸が熱くならないわけがない。それにしてもエレンはすっかり百合担当になってしまったな……。

華やかな魔術祭典の裏で蠢く、平和を乱そうとする陰謀とそれを阻止しょうとするグレン達の戦いも良かった。何より、かつての失敗を経てひとつ「わがまま」になり、精神的にも一回り大きくなったルミアの成長劇が印象的でした。強大な敵を前にしても動じず、自らの壁を一つ乗り越えて大切な物を守るために戦う彼女のすがたに胸が熱くなる。最近は結構システィーナの成長が主体になっていた感があったけど、ヒロイン争奪戦的な意味でもまだまだ予断を許さない感じのルミアの猛攻が楽しかったです。

魔術祭典の決着は次回に持越し、グレン達の水面下の戦いもまだまだこれから…という状況で黒幕その人が出てきちゃうのかーー!!次回への引きがバッチリ過ぎて続きが楽しみで仕方ない。


現実とゲーム、両面で展開される恋愛模様が!かわいい!!

ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

 

王太子であるジークは突然聞こえた神の声に困惑した。神曰くジークの婚約者・リーゼロッテは“ツンデレ”で、“破滅”を迎える“シナリオ”らしい…?彼女のキツめの言動は、全て照れ隠し!?神が解説する彼女の本心が可愛くて一人悶えるジークは、知る由もなかった。実は神の正体が、ゲームを実況をするただの高校生だと…。神託(※ゲーム実況です)を頼りに婚約者を救え!隠したい本音がダダ洩れな悪役令嬢、バッドエンド回避なるか!? (「BOOK」データベースより)

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趣味と実益を兼ねてお気に入りの乙女ゲームを実況しながらプレイしていた放送部の遠藤くんと小林さん。ところが、推しの悪役令嬢・リーゼロッテの相手役である王太子・ジークに『神託』としてその声が届くようになってしまい…「実況」と「解説」を駆使して悪役令嬢の本音を暴き、本来のゲームにはなかった完全ハッピーエンドを目指していく物語。

アドバイスとは名ばかり、ほぼオタクの萌え語りマシンガントークそのものな【神の声】が超楽しい。誤解を受けやすいツンデレ令嬢が分かりづらい態度を取る度に、その「本音」を片っ端から解説されてしまって、その声に感化されてどんどんゲーム内の人物関係が良い方に変わっていくのにニヤニヤが止まらなかった。王太子はどんどんリーゼロッテにメロメロになっていくし、それを見た本来のゲームヒロインであるフィーネもなんとなく彼女の真意を理解して仲良くなっていくし、フィーネにはちゃんと別の人との出会いが待っているし……で、優しい世界がすぎて尊い。ジークとリーゼロッテのツンデレ甘々カップルも好きなんですけど、フィーネとバルドゥールの関係性がまた好きだった。

同時に、並行して現実世界で繰り広げられる主人公たちの恋愛模様がまた可愛い。止む終えぬ事情で野球への道を絶たれて落ち込んでいた遠藤が放送部のオタク女子・小林によって救われて恋に落ち、そして気づいたら彼女の「推し」の乙女ゲーム沼に落とされているという二重の流れにニヤニヤが止まらないし、未だ野球部への未練が拭えぬ遠藤をそれとなく支える小林の姿にじんわりしてしまう。ひたすら糖度高で進む乙女ゲーム側の恋愛事情とは打って変わって、青春まっただなかな二人の関係が甘酸っぱい。

大好きな乙女ゲームのキャラクターたちの運命を握ることになってしまったことに重圧を感じながら、それでも本来のゲームでは絶対に幸せになれないリーゼロッテをはじめ、乙女ゲームの登場人物たちが全員幸せになるエンディングを模索していく姿が印象的。本来のゲームでは絶対に避けられないはずのリーゼロッテの破滅エンドをどう回避するのか。やたらとフィジカルお化けなフィーネの設定とか意味ありげな現実世界の設定とか色々まだ明かされていない裏もありそうで、続編が楽しみです。