今年は!書いたぞ!!年内になァ!!!
というわけで今年もあと2時間ほどですがいかがお過ごしでしょうか。私事ながら昨日コミックマーケット103に遊びに来てくださったかた、ありがとうございました。なんだかんだで珍しく年末が早めに収まったので久しぶりに旧年中に今年のまとめを書いております。
本年、概ね50冊程度とちょっと控えめな読了冊数に収まってたのですがその合間に小説家になろうでひたすらシャンフロを読んでたりしたので読書ペース自体は落ちていないハズ……(どちらかというとブログの更新頻度の低下が酷かった)とはいえ結構わかりやすく手を出せないまま終わった新刊・脱落したシリーズが多かったので来年はもう少したくさん読んでいけるといいなあ。過去作やなろうにも読みたいものがたくさんある……。
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薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 2 前世が筋肉喪女なのに、皇子さまと偽装婚約することになりました!?
病弱令嬢クレハ・メイベルに転生した武闘派OLの成鐘呉葉。自身を狙った陰謀を自らの腕力(魔力)で粉砕した彼女は、クレハから正式に残りの人生を託される。彼女の人生を幸せにしてみせる……でも幸せって?と思い悩む暇もなく隣国の皇子であり良き理解者であるイザークが意味ありげな態度を取り始める。更に、イザークの祖国での跡継ぎ問題を穏便に収めるべく、彼と偽装婚約をすることになってしまい!?
前巻よりもラブコメ増量した展開が微笑ましくてたまらない
楽しかった〜!!精神的にはイザークよりも年上だけど恋愛経験はからっきしな「筋肉喪女」の呉葉が、自身の恋心を自覚して押せ押せで迫ってくる(でも相手の意向はちゃんと尊重してくれるイケメン具合)イザークから求愛されて、必要以上に彼のことを意識してしまってワタワタするのが大変かわいくてよかった。そんな中で発生したイザークの祖国・ハイダラでの皇位争い。前巻でクレハが命を狙われたのもその事件の一貫であったわけですが……予想以上にドロドロとした血肉の争い、親から子へ引き継がれていった呪いのような狂気が出てきてしんどくなる。自分の得の為なら親兄弟すらも手にかけられる兄、その弟であるイザークも時折冷たい一面を覗かせることがあって……。でも、そんな兄弟の争いの中でイザークの不穏な気配を察してスパッと(物理で)解決していく呉葉の姿が爽快で気持ちよかった。
前巻でクレハに誓った「クレハ・メイベルの残りの人生を幸せにする」という言葉が何を意味するのか。恋愛やら血肉の争いやらでぐるぐるになりながらも思い悩む呉葉がイザークの悩み事を解決し、そんな中で「私自身が幸せになればいい」と見出していく展開がムネアツでした。それにしてもイザークの身の内に危険な心を隠し持った紳士ぶりも大変良いのですが、クレハの兄テオバルトの「シスコン」と「良い兄」の絶妙な配分が最高すぎる……前巻のラストも色々な意味で兄が持っていってましたが、今回も不器用な「妹」の恋路にナイスアシスト入れつつも暖かく見守っている感じが最高でした。ナイスメガネ!!!
陰陽師と天狗眼 ─冬山の隠れ鬼─
巴市の市役所に勤務する公務員陰陽師・宮澤美郷の元に持ち込まれた新たな特殊自然災害の依頼……それは小学生の男の子の奇妙な放浪癖に関する相談だった。地域に残る神隠しの伝承、そして子どもたちの間に伝わる『鬼ごっこ』の噂が原因と思い調査を始めるが……その頃、相棒でありフリーの山伏・狩野怜路の元には失踪した美郷の弟を捜索する依頼が持ち込まれており……。
美郷さんほんと魔性の男……
男男バディが繰り広げるあやかし退治シリーズ第二巻。美郷が受けたもののけトラブルの依頼と、怜路が受けた美郷の弟を捜索する依頼。ふたつの事件はやがてとある民間伝承に端を発した祟りと神隠しの事件へと繋がっていく。別々の依頼が徐々にひとつの大きな事件に収束していくという展開が面白かったです!前巻はふたりの馴れ初めと怜路側の事情が中心でしたが、今回は美郷の実家を巡るアレコレが中心。1巻を読んだ感じだともうけんもほろろに家に居場所がなくて……みたいなのをイメージしていたんですがもっと入り組んでいたというか、父親もつらい立場なりに頑張ってるんだな……。
1巻の広瀬なんかもそうでしたけど、弟の克樹にせよ使用人の若竹にせよ様々な意味で美郷の存在に惹かれる──というよりはもう「囚われて」いるんだよなあ。これはもう色々な意味で美郷のほうも家を出ていく以外に道は無かったよねという感じ。かつての兄の影を求めて必死に追いすがる弟の手を振り払いながらも最終的にお互いに別の所で生きていくことで再び絆を取り戻す展開が印象的で、とてもよかったです。それにしてもいろんな男(年齢性別生死問わない)からクソデカ感情向けられまくる宮澤美郷、あらためて魔性の男だよ……。
相棒関係的には美郷と怜路が別々の事件から派生した一つの大きな事件を共に解決することで、改めてお互いを何でも話せる「相棒」として認め合いこれから一緒に事件を解決していくぜという流れでこれから続く物語がますます楽しみになりました。
それにしても白太さんが可愛いすぎてつらい。シャベッタアアア!!もそうですけど一人称が「しろたさん」ってあなた……。
魔王2099 3.楽園監獄都市・横浜
伝説の魔王――絶海の監獄島と化した“横浜”に降臨する!
統合暦2099年――奇怪なる未来世界にて、霧消した旧家臣の行方を追う魔王・ベルトールが降り立った次なる大都市は……
「判決――横浜市にて、被告人を、懲役2099年の刑に処する」
地殻変動によって陸地から切り離され、絶海の孤島と化した『横浜市』。外界からの干渉を拒絶し続ける“楽園”とも称される疑惑の島に、囚人として潜入したベルトールだったが……
「ここは神が管理する箱庭――世界平和を成す、最後の聖域」
魔王が辿り着いたのは“楽園”という名の“監獄”の支配者《父祖》が推し進める、想像を絶する最悪の計画だった――。
狂乱怒涛の楽園監獄都市に、魔王の新たな神話が刻まれる!
かつての腹心であった黒竜侯シルヴァルドの行方を追い、高橋を連れて第二横浜市に潜り込むベルトール。絶海の孤島と化したそこは偽りの神を抱くディストピアとなっていた。一方、その第二横浜市で善良な市民として生活を送っていた少女・青葉100Fは隣人の密告によって思想犯とみなされ、監獄送りになってしまう……。
勇者と魔王の背中合わせの共闘最高なんですが〜〜〜!!!(総力決戦なクライマックス最高でした)
実に2年ぶりとなる新刊は監獄島を舞台に繰り広げられる偽りの神と魔王の対決!画一的な存在であった一市民の青葉100Fと周りから外れたが故の葛藤を持て余す高橋の儚くも美しき心の交流!!魔王とその仲間たちが全力を発揮する最高のクライマックス!!!というのもめちゃくちゃに楽しかったんですけどそんなことより同じ監獄にぶち込まれた魔王ベルトールと勇者グラムの再びの共闘が最高すぎて最高になってしまいました。いや、だって同居してしまった(※同じ牢屋の意)が!?更には裸の付き合い(※シャワールーム)まで!?魔王ベルトールと勇者グラム、かつては世界を賭けて戦った仇敵同士であるが今はむしろ世界に置いてきぼりにされた半端者同士の共感の方が強く、割と軽率に助力を求めるベルトールに対してグラムが塩(ツンデレではなく、共闘する程度の関係だがデレでやってるのではなく純粋に塩)なの最高とつねづねいい続けてきたんですけど、今回は特に命の獲り合いをしたからこそお互いの呼吸を知り尽くした関係であり、お互いの実力を信頼しており、目的を同じくさえすれば誰よりも安心して背中を預けられる関係でそこから生まれてくる阿吽の呼吸ぶりとシンクロ率バッチリな共闘シーンが美味しすぎるんですよね……最高……。
グラムとベルトールの話をし始めるとマジでキリがなくなってしまうので話題をもとに戻しますが、1巻・2巻ともに割とバトルは魔王ベルトールの独壇場になりがちだった本作、今回はマキナ・緋月・高橋も含めて仲間達が次々と本領発揮していくのが大変にアツかったです。1巻からヒロイン枠で割りといいところなしだったマキナ、そうだよな彼女も六魔侯の一角だったんだよ…。サポートに徹しがちだった高橋が青葉100Fとの心の交流を経てふっきれて大活躍する展開もめちゃくちゃ楽しい。彼らと共に戦う覚悟を決めた緋月、そして新たに仲間に加わったシルヴァルドの活躍も目覚ましいものがありましたし、なにより1巻から勇者グラムと魔王ベルトールの関係に注目していたので今回の利害一致からの共闘・背中合わせでの戦いっぷりには本当にニヤニヤしてしまいましたね……ごめんまたベルトールとグラムの話してる……。
戦いが進むにつれて明かされていく本当の敵と様々な真実。今後の展開への期待も含め、とても楽しかったです!アニメ化も決まったとのことで今後はコンスタントに続編が読めるんだよな?いやぁ楽しみだなあ!!!
余談ではありますが、ドラマガ最新号の「魔王2099」特集が魔王ベルトールと勇者グラムの総力特集だったのでよろしくお願いします。やばい。編集部もグラムとベルトールを推してる……時代が私に追いついて来てる……。
歴史に残る悪女になるぞ 5 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!
ラヴァール国で出会った暗殺者の少年・レオンの弟の病を治すため、万能に聞く薬草・マディの採取にやってきたアリシア。崖から落ちそうになり絶体絶命のピンチを救ったのはデュルキス国にいるはずのデュークだった。一方、デュルキス国では同じ不治の病に倒れたアリシアの師・ウィルの容態を巡り、ジルが必死の奮闘をしていて……。
涙なしには見られないラヴァール国編クライマックス!
波乱万丈の人生を送りアリシアに計り知れない影響を与えた男・ウィルにまつわる最期の物語を語る上での場面の整え方がめちゃくちゃ凄かった。アリシアへの試練/魔法の返還という形で別々の国に居たふたりをひとつの舞台に上げてしまうのも凄かったし、何よりもデュルキス国内で常に最強の悪女であるために努力し続けてきたアリシアがラヴァールに追放されていたままでその時を迎えたのも彼女を「ただのリア」にするために必要なことだったんだなと。ウィルの病を救うことが出来る薬草が今そこに駆けつけることができないアリシアが入手していたやるせなさ、年相応の少女のような彼女の姿も含めて、本当に涙なしには見られないクライマックスで素晴らしかったです。デュルキス国側の物語も、アリシアやウィルの庇護を離れた所で大きく成長していくジル、自分の弱さを自覚して立ち上がろうとするリズ…と、今後のアリシア帰国後が楽しみになる展開が目白押しで楽しかったです。そしてラヴァール国にまで美味しいところを浚いに来て他国の王子とバチバチしてるデュークにニヤニヤしてしまう。
これまで以上に不穏な種は見え隠れするけどどうなるのか。アニメ化おめでとうございます!(楽しみ)
VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた8
自称アンチ、自称記憶喪失、そして物カプゴリ推し宇宙人。個性豊かすぎる5期生を加えてますます騒がしくなったライブオン。ある日、各学年から代表者を選出してバレンタインチョコを作る……という企画で上手く振る舞えなかったと落ち込んでいるダガーちゃんを見かけた心音淡雪は、彼女を元気づけるためこっそり「とあるもの」を渡すのだが……?
スト◯ロとかいう伏線(合法)
5期生のダガーちゃんにスポットライトを当てた最新刊。あらすじでも伏せられてるけど何も伏せた意味がないこのプレゼント、何も知らないピュアな子を慰める目的でス◯ゼロ渡してるんじゃないですよ!アル中になったらどうするんですか!!いやまあもう淡雪さんのキャラが一貫してていいことだけどさ!!!ダガーちゃん、「記憶喪失」というキャラクターと自身が持つ善良でピュアな性格があまり噛み合っていない印象があり、どう落とし込んでいくのかというのはかなり気になっていました。そもそも記憶喪失設定自体がダガーちゃんの自信のなさに由来する後付設定だったこともあり、「設定」として昇華するのがかなり辛そうな雰囲気もあり……もういっそ記憶喪失の設定とかなかったことにして仕切り直したほうが本人のためにも良くない??と思っていたんですが…………えっこのストゼロ伏線だったの!?結果としてダガーちゃんに自らの才能を自覚させ、更には記憶喪失という「設定」を「持ち芸」として昇華させるというパーフェクトな解決の仕方してるのすごすぎるんですけど、あまりにも解決までの流れがライブオンすぎるんよ……。
次巻は同じく5期生である宮内回の気配。自称「アンチライブオン」である彼女の設定も結構振る舞いの難しいキャラだな……という印象があったので、どう落とし込んでいくのか楽しみです。
配信的にはワードウルフ回が大変楽しかったんですが、ましろさんだんだん百合こじらせてきてませんか……?時々めちゃくちゃな女女間の執着感じるんですよね……。あと出番少なめキャラのカステラ回答回が楽しかったです。最近は全体的にライブオン内でのコラボ配信が中心になる機会が増えて、ちょっとしたゲーム実況回とかカステラ回答回とかあまり出てこなくなってしまってた気がするんですが、原点回帰感あってよかった。
バズれアリス 2 【追放聖女】応援(いいね)や祈り(スパチャ)が力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】
「聖女アリスの生配信」に新聖女がデビュー!?
追放先の迷宮で異世界――現代日本に繋がる鏡を発見し、レストランを営む青年・誠の協力で配信者デビューを果たした聖女アリス。念願の収益化を達成し配信者として絶好調な彼女のもとに、「地の聖女」セリーヌが訪れる。親友であるアリスの無事を喜び、一緒に邪智暴虐の王を倒そうと彼女に協力を求めるセリーヌ。しかしアリスが「動画配信で生きていく」と断ってしまい、口論の末に2人は互いの気持ちを吐き出し合う。その結果、セリーヌも配信者デビューをしたり、アリスの将来を賭けた「決闘」を配信したりすることになり……!?
「聖女」兼「配信者」がバズって戦う異文化交流コメディ、第2回配信開始!
難攻不落の迷宮に追放された聖女アリスは迷宮内で不思議な鏡をみつけて、異世界(現代の日本)で異世界系動画配信者としてデビュー。楽しい迷宮の仲間たち(?)と共にこの世の春を謳歌していた。チャンネルも収益化を果たして絶好調のアリスの元に、同じ聖女であり親友のセリーヌがやってくる。アリスが追放されたことに憤慨し、エヴァーン王国で革命を起こそうとするセリーヌ。その旗頭としてアリスを連れ戻したいセリーヌに対し、セリーヌを配信仲間に引き入れたい誠は迷宮攻略対決を持ちかけて……!?
シェフ・ラビットちゃんとかいう憑依系TS美少女があざとすぎる件
これまで通り異世界のアレコレに直接手出しを出来ない誠に代わってアリスがセリーヌと戦う展開……と思いきや、誠自身が異世界にバ美肉して新キャラとして戦うぜ!!という展開でひっくり返った。対決相手のセリーヌさんもしっかり配信者としてチャンネルを開設したりインスタグラマーとして活動開始して……と、物語的にもチャンネル的にも新キャラが大量追加で混沌としてきたシリーズ第二巻でした。ていうかとにかく新キャラ(笑)のシェフ・ラビットちゃんの性癖盛り盛り具合がやばい。無機物憑依TS美少女という時点で相当一部オタクの性癖を直撃していそうで大変なわけですが、再生数を稼ぐためなら恥じらいなどいらん男のツボは男の俺が一番良く知っているが!!??とばかりに完璧な計算で男を殺すための最終兵器として爆誕してしまったのでリスナー達の性癖がおびやかされすぎる。個人的にはもうちょっと恥じらってくれたほうが良かったなぁ!!とも思うわけですがここまで恥じらいを捨てて媚び全振りしてるのはまた別の良さがありますね。
新キャラのセリーヌさんが初見優等生っぽいキャラから親友のアリスを前にして少しずつ素が出てくるところも良かったし、ランダの新たな一面も見れたのでそういう意味でも楽しかったです。新キャラ達に見せ場を食われた感のあるアリスも要所要所ではちゃんとヒロインしてるというか、誠が人形を媒介にしてとはいえ同じ世界にやってきたことで改めてお互いの関係性を意識する……という展開がしっかり盛り込まれていてここにきてメインヒロインとしての補強が行われた感ありました。触れ合えなうことができない2人がいつか手を取り合うため、改めて迷宮攻略を決意する展開がとても良かったです。
そんなヒロイン混戦状態の中で、セリーヌやラビット目当てで増えたフォロワー達をアリスのパワーに変えるために行われた「応援上映」回でニヤニヤ笑ってしまった。キャラクターグッズが光る棒なの面白すぎるし、なによりセリーヌさんの煽り方が完全に経験者のそれなんですけどどこでそんな文化知ったんですかねぇ!!
一筋縄ではいかない異世界事情が見えてきた
新キャラを加えてますます盛り上がるアリスの配信チャンネルですが、その一方で彼女が身を置く異世界の事情はそう簡単にはいかないようで……1巻時点でのエヴァーン帝国の言われようがあまりにもボロクソだったもので、基本的には今後登場しないかアリス達が楽しくやってる裏で勝手に自滅するか……くらいの雑なかませ犬くらいにしかおもってなかったんですが……今回の話を読むと相手は思った以上に狡猾だし、アリスが今後配信パワーをもりもり集めたとしても簡単に倒せる相手ではなさそうな気配。ていうかここまで強大な相手なら普通にアリスが生きてると知って潰しに来てもおかしくない気がしてくるな……。改めて誠とアリスが共に居ることの覚悟を問われたり、ランダ──というか聖女や魔王の力の一端が明らかになったり、一方現代日本ではアリスのチャンネルの仕掛け人(誠)の正体に感づく者が現れたり……と、今後の展開への布石となるような伏線も盛り盛りな1冊でありました。今回提示された内容をふまえると今後結構シリアスな話に行ってもおかしくないけど、今後どうなっちゃうのかな。誠の店の今後についても(いまのところ配信活動は全くそちらに良い影響を与えていないので)気になる。続編を楽しみに待ちたいと思います。
え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?
SEとして就職した会社がブラックで、日々の業務に疲弊していた佐藤愛。仕事を少しでも楽にするべく、オタク趣味(コスプレ)を心の拠り所にしながら同僚達と業務を自働化するシステムを作り上げてワンオペ業務をしていたが、それまで黙認されてきた社内でのコスプレが新しい社長の目に止まり、挙げ句『1人で回る仕事など本当に必要なのか?』と言われてリストラされてしまう。失意の中ファミレスでぐだを巻いていた彼女は幼馴染の起業家・鈴木健太と偶然再会。彼の立ち上げた「真のプログラマ塾」の講師として再出発することに……!?
現代社会を舞台にした追放→ざまぁ物
コミカライズが面白かったので手に取りました。高いプログラミング技術と高いカウンセリング能力を併せ持つ主人公が自分の才能(と趣味の両立)を認めてもらえる会社に転職して実力を発揮していく、一発逆転ストーリー。お仕事でストレスを抱えて塾を訪れた顧客の悩みを会社でコスプレをしているという一風変わった主人公が解決していく……という1話完結形式の物語なんですが、ただ技術面のサポートを行うだけではなくて自分と同じ視点に立ってメンタル部分なケアもしてくれるのが印象的でした。悩み事の内容も割りと全体的に社会人あるある系の話なので、共感しやすい内容だったかなと。個人的に面白かったのが、プログラミング未経験者の俗に言う「子供部屋おじさん」にプログラミングを教える話。やる気のない人を顧客にしたくないという理由で「未経験者を客として取らない」としていた幼馴染・健太が顧客を切り捨てようとするのに真っ向から立ち向かう主人公の姿が頼もしかったし、努力が上手く噛み合わないまま社会という歯車からこぼれてしまった男性が主人公の導きによって再起していく……という展開もよかったけど、未経験者でもわかるプログラミングの基礎のお話がめちゃくちゃ面白かった!あとキャラクター的には百合ちゃんが良かったですね。「ツンデレちゃん」の渾名の示す通り、初登場時はツンツンしていた彼女が終盤ではすっかりデレデレになってるところかわいいかよ。
そして、各章の合間に主人公を手放した前社が業務回らなくなって破滅していく様子が描かれていくのが、現代を舞台にした「追放→ざまぁ物」のような読み味で面白い。社員を「数字」でしか見られない社長が最後まで会社が業務不全に陥ってしまった理由が理解できないまま破滅していくさまが痛快だったし、最初から最後までフォローのしようがない小物悪役ムーブなの大変良かった。内勤とはいえファーストインプレッションが「露出度の高いコスプレ姿で仕事している」だった主人公に新社長が色眼鏡掛けてしまう気持ちわからなくもなくはないし、「ひとりが対応できなくなったら機能不全に陥るようなシステムはそもそも駄目」みたいな弁もまぁ一理あるなと思うのですけど、主人公にワンオペで業務させてたのもストレスのあまり社内でコスプレしてたのも主人公に引き継ぎ用の資料すら作らせずに放逐したのもお前の会社なので……と思うと(その後の対応や主人公に行った報復行為などもひっくるめて)何も擁護出来ないんだよな……。
そんな前職社長がやぶれかぶれに実行した報復行為に現職の社運をかけたイベントを潰れされそうになり……八方塞がりの中でダメ元で呟いたSNSの口コミが前職/現職で築いた人脈を介して大きな炎上・ムーブメントへと発展していくクライマックスがまた良かった。思わぬつぶやきが影響の大きいインフルエンサーの目に止まって爆発的に拡散されるの、SNSあるあるだよなーと思いつつ、思わぬところから既知の人物にバトンが渡っていく展開には思わずニヤニヤしてしまう。
ちょっとほっこりできる平社員あるあると、現代を舞台にした追放・ざまぁ展開が大変楽しいお話でした。前社の話は流石に続けられないだろうけど、1話完結形式でどこまでも続けられるお話だなあと思うので末永く続いて欲しいな。
腹ペコ要塞は異世界で大戦艦が作りたい World of Sandbox
ふと気がつくと、前日までプレイしていたゲーム【ワールド・オブ・スペース】の拠点に転移していた主人公。しかも、ゲームで使用していた女性アバターの姿で!?拠点の統括AI《リンゴ》の頭脳を駆使して拠点を整備し生き残りを図るが、資源も食料もエネルギーも何もなしの状態。なにもかも手探りで周囲を探るところから始める羽目に……!?
モニターの外の侵略戦争
自分のやっていたSFゲームの拠点に異世界転移してしまった主人公が、何もない状態から拠点を整備し何もわからない異世界(ファンタジー)で生き残りを目指していく物語。なにもかもがわからないところからまずは自分たちの状況を把握して、最低限の栄養源を生産するところからはじめ、次第に食料を生産し、やがて資材を生産し、自分達のいる異世界の住民たちとの交流・貿易を図るために艦やユニットの生産に手を伸ばしていく。そして、貿易を行おうとした港町はある問題に悩んでいて……と、ゲームのチュートリアルからさいしょの村のクリアまでみたいな展開が面白かった!資源さえあれば何でも出来るハイテクを持ちながら、資源がないのでなにもできないというタイトル通りの「腹ペコ」具合もゲームの序盤っぽいし、ゲームが現実になってしまったせいで種族の詳細や生活設備の有無など元のゲームでは肉付けされていなかった部分が足りなくて躓いてしまうままならなさが面白い。こういうジャンルのゲームが好きな人にはめちゃくちゃ刺さるお話なんじゃないかと思う。そして異世界交流的には、艦内で生産した資材を交易材料にして飴と鞭を上手く使って少しずつ現地民を自分達に依存させていく手腕が凄かった。1巻時点では比較的友好な姿勢を取っているのですが、もうこれ絶対にどっぷり依存させておいてジワジワと支配する流れですよねえ!現地民の方も自分達が依存「させられてること」に危機感を覚えつつ、ズブズブと深みにハマっていくこの感じ。そして主人公は最初から最後まで拠点の内部にいて、一連の出来事はモニターの向こうで淡々と進行していく。自分が当事者のはずなのに最後までゲーム感覚が抜けていない薄ら寒さというか、時折発揮される主人公の獣人少女好き設定とかも微笑ましく感じる反面ゲームと現実の区別がついてなさそうな感じがして薄ら寒いというか……。このまま順調に資源を稼いで版図を伸ばしていくのか、どこかで痛い目を見たりする方向性なのか続きが気になるシリーズ第一巻でありました。
というか主人公すら統括AIに少しずつ依存させられているというか「管理」されてる感が結構ある気がするんですよね。この統括AI、「甘えん坊」といわれているけどもっと変に主人公のこと拗らせてるというか……これ物語の進行によってはヤンデレ方向というか、後味の悪い展開もありそうで不穏だなぁ……
個人的にはこのジャンルのゲームへの造詣があまりないので元のゲームをうまく想像できない部分があり(わりと元になるゲームジャンルを「知ってる前提」で話が進んでいる気配を感じる)、同時に転移前の世界観や主人公自身に関する掘り下げが殆どないこともあって少しどういうスタンスで読めば良いのかわからない部分もちょくちょくあったので、その辺は今後もう少し掘り下げや言及があると良いなあと思いました。せっかく性転換している主人公なのにその辺の反応や描写が蛋白気味なのも勿体ない。ただ、この「血の通ってなさ」こそが味という感じもするのだけど……。
2022年読んで面白かったラノベ16選(11ヶ月遅れ)
「このラノ2024」TL見ていて去年のまとめ作ってないことを思い出した。
今見たら2022年まではギリギリ好きラノがあったのでもうそれで良かったのでは……??感があるのですが、確認したら年始にたたき台だけ作って途中まで記事書いて放置してたので完成させて出しておきます。多分ここから10選に削ろうと思ってたと思うんですが、今削ると完全に2023年を踏まえた作品群になるからそのまま出します……ここのところはこのラノの投票作を語る記事を同じ時期に出していたのでそれの亜種だと思ってください(このラノ投票しそこねましたの札を手に)。
来月か再来月くらいにまた似たような作品の語りしてるかもしれませんがみなかったことにしてほしい!